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May 2009

2009.05.23

早春の尾瀬 山ノ鼻から尾瀬ヶ原へ

 5月22日、山ノ鼻から胸を躍らせながら雪解け間もない尾瀬ヶ原へ入った。
 (山ノ鼻の場所はここをクリック)

 まず最初に現れる湿原が上田代。
 今歩いてきた木道を振り返れば、残雪の堂々とした至仏山をのぞむことができる。

 「広大な尾瀬ヶ原を差し挟んで東西に対立している燧ヶ岳と至仏山。燧の颯爽とした威厳のある形を厳父とすれば、至仏の悠揚とした軟らかみのある姿は、慈母にたとえられようか。原の中央に立ってかれを仰ぎ、これを眺めると、対照の妙を得た造化に感歎せざるを得ない。」 

     深田 久弥 著 「日本百名山」 1964年 新潮社 刊 より抜粋

 上田代から仰ぐ見る至仏山

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 上田代は、尾瀬ヶ原の三湿原(上田代・中田代・下田代)の中では一番小さいが、ちりばめられた池塘が非常に美しい湿原である。

 遙かゆくてには燧ヶ岳がのぞまれる。

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 「それにしても、・・・・・尾瀬は静寂そのものである。太古のままの森林は、昔ながらの姿で沼を囲繞し、鏡の如き水面は燧の倒影を映し、魚は群れをなして水草の間を游泳し、春きたれば雪は解け、夏きたれば花開き、秋至れば草木ことごとく錦繍を織りなし、冬には万物皆深い積雪の下に眠ってしまう。・・・・・」

    武田 久吉 著 「尾瀬と鬼怒沼」 1996年 平凡社 刊 より抜粋

 この池塘では、多くの生き物の営みを見ることができる。
 一番目に付くのがサンショウウオ。

 サンショウウオ
 (尾瀬ヶ原には三種類のサンショウウオが生息しているという。)

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 雪解け水で増水した上ノ大堀川を渡り、狭い牛首を抜けると、尾瀬ヶ原の中央部である中田代に入っていく。
 明るく広々とした湿原を、尾瀬ヶ原三又を抜け竜宮方面へ向かうと、下ノ大堀川に到着する。
 至仏山を背景としたミズバショウの群落はすばらしく、尾瀬ヶ原を代表する風景となっている。

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 この下ノ大堀川から竜宮にかけては、湿生植物の宝庫になっている。
 竜宮十字路周辺では、ミズバショウとリュウキンカが見頃を迎えている。

 至仏山を背景に、木道沿いに咲くリュウキンカ

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 リュウキンカ

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 リュウキンカとミズバショウのコラボレーション

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 その他にも、所々で
 ワタスゲの花や・・・・・

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 ショウジョウバカマ

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 タテヤマリンドウなどを見ることができた。

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 「水ごけのじくじくしたいわゆる水ごけ湿原を飾るものは、天から降った星かと見紛うばかりのタテヤマリンドウの紫唇が、幾百となく、燦々と降り注ぐ陽光を浴びて、笑いかけるそれであった。・・・・・・中略・・・・・
 やがて上ノ大堀の幅広い流れを徒渉して右岸に上がると、湿原はいよいよ広く、その彼方には燧ヶ岳が悠然と、髻を天空にそそり立っている。」

         武田久吉 著 「明治の山旅」 昭和46年刊 創文社 より抜粋

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2009.05.22

早春の尾瀬 鳩待峠から山ノ鼻へ

 尾瀬への群馬県側の入口となる鳩待峠(標高1591メートル)から、雪解け間もない尾瀬ヶ原を訪れた。

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 雪解けすぐのミズバショウのシーズンがいよいよ始まり、本日午後7時より交通規制が開始され、鳩待峠への一般車の乗り入れが禁止とる。要するにマイ・カーで行けるのも今日までということになる。
 (鳩待峠の交通規制の詳細はここをクリック)

 午前5時40分 鳩待峠より山ノ鼻を目指す。
 今にも泣き出しそうな空模様・・・・・時折小雨がパラつく。

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 鳩待峠から、尾瀬ヶ原の入口山ノ鼻までのおよそ3,3キロのトレイルには、所々残雪があるものの、通行には支障はなし。
 行く手に向かって左側には、木々の梢の間から至仏山が見え隠れする。

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 鳩待峠から山ノ鼻へは緩やかな下り。
 途中、川上川を渡る手前の小湿原では水芭蕉の群落を見ることができる。

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 山ノ鼻にはビジターセンターやチップ・トイレ、山荘やショップがあり、小休止にちょうどいい。鳩待峠からは1時間程度。
 尾瀬植物研究見本園へも立ち寄りたい。

 鳩待峠から山ノ鼻の間で見られた花々・・・・・

 エンレイソウ : よく見かけた

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 開花前のマイヅルソウ : よく見かけた

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 イワナシ

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 タケシマラン : 花が小さく目立たない

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 ウスバサイシン : これも目立たない

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 オオバキスミレ

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 コミヤマカタバミ

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 「ネマガリタケを分けて、人気のまったくない鳩待峠に着いたのは、戸倉を出てから五時間半以上の後であった。わずか三里余の距離というのに、費やした時間を思えば、通路の困難を察することが出来よう。 ・・・・・・・中略・・・・・
 待望の尾瀬ヶ原まで、かれこれ二時間もかかた。針葉樹を交えた落葉樹林で、左の方、川上川の源流の対岸には、至仏山の巨体が蟠っていた。
 傾斜が緩くなると、湿地も現われ、オオカサスゲだのミズバショウが群生していた。雑草の間にオオサクラソウの紅花も可憐であるし、タチカメバソウの白花や、淡黄花のオオレイジンソウだの、オオバキスミレも目についた。
 右から流れ出す二,三の支流など、物の数でもないが、それらを集めた川上川は、はなはだしく深くはないが、またしても徒渉である。それを左岸に渡れば、ここは山ノ鼻だという。ゼンマイ採りの小屋だという粗末な笹小屋があって、・・・・・・・」

         武田久吉 著 「明治の山旅」 昭和46年刊 創文社 より抜粋  

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2009.05.12

早春の南会津 宮床湿原へ

 5月10日、駒止湿原から玉川林道を経て、宮床湿原を訪れた。
 湿原への林道が、南郷スキー場を横切っているのには驚いたが、スキー場からの眺めは素晴らしいものがあった。
 《宮床湿原への林道入口はここをクリック》

 南郷スキー場からの眺望
 眼下の流れは伊奈川で、はるか遠方に会津朝日岳が臨まれる。

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 ところで宮床湿原だが・・・・・

 湿原入口には、林道沿いに車5台程度のスペースがある。
 入口から湿原までは10分程度急坂をのぼらなくてはならない。

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 スキー場のある伝上山の南、標高850メートルに位置する小さな湿原で、湿原中央を木道が貫き、周囲を一周する遊歩道も整備されている。
 湿原をとりまく周囲の森は、ブナよりもミズナラが多いようだ。

 宮床湿原全景・・・・・全体的に寂しい雰囲気だが・・・・・
 《場所はここをクリック》

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 よく目をこらして足下を見てみると・・・・・
 タテヤマリンドウの青紫色が目に付く。
 その可憐な姿は、湿原にちりばめられた青い星のよう。

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 ちょっと時期的に遅いんじゃないの?と首をかしげたくなるザゼンソウの姿も。

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 そういえば、林道から湿原までのトレイルではカタクリの花にも会うことができた。
 「よぉ 久しぶり」と声をかけてしまいそう。

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 まだ花をつけていなかったがツクバネソウの群落もあった。

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 水芭蕉は巨大化してしまい、とても見るにたえない状態だった。残念。

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2009.05.11

早春の南会津 玉川林道へ

 5月10日、駒止湿原を後にして、駒止峠から国道401号線鳥居峠を結ぶ玉川林道(未舗装のダート)を進んでみた。
 林道沿いには、玉川の流れの源となる小湿原が形成されている。

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 この地域(駒止湿原)でしか見られないといわれている、仏炎苞(白い部分)が2枚ついている水芭蕉も、林道沿いで見つけることができた(たくさんあった)。

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 駒止湿原で見ることのできなかったリュウキンカが、林道沿いの沢地に群生していた。
 これほどのリュウキンカの群生を見たのは初めて。

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 アズマイチゲの群落も発見

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サンショウウオの卵まで・・・・・

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 途中に「冷湖(ふゃっこ)の霊泉」と呼ばれる銘水がある。
 《場所はここをクリック》

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 それにしてもこの玉川林道、素晴らしい景観で出迎えてくれたが、途中数カ所でヒヤヒヤする場面も・・・・・

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2009.05.10

早春の南会津 駒止湿原へ

 駒止湿原への表玄関、針生地区の道路は、まだ閉鎖中だった。
 もう道路上に雪はないのに、なんでも今年の開通は5月15日らしい・・・・・。
 そんな訳で別ルート(南郷側)から駒止湿原を訪れた。

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 雪はほとんど消えており、木道上に残る場所があるものの歩行に影響なし。
 しかし、雪どけ水が木道をおおっている所があるため、長靴があると便利。

 肝心の水芭蕉はというと・・・・・小ぶりのかわいらしい水芭蕉が、恥ずかしそうに所々で顔を見せてくれる程度。ちょっと早かったかなぁ~。

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 ショウジョウバカマもちらほらと姿を見せていた。

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 ワタスゲの花はいたるところで見ることが出来た。

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 可憐なヒメイチゲも咲いていた。

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 駒止湿原を取り囲むブナの木々も芽吹き始めている。

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 駒止湿原は、南会津町と昭和村の間の標高1,100メートルに位置する湿原群で、モリアオガエルの生息地であったり、双方水芭蕉を見ることができたりと、貴重な湿原になっており、国の天然記念物に指定されている。

 ちょっと早かったかなぁ~と思いつつ、朝一番に駒止湿原を独り占めできる心地良さを味わうことができた。

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2009.05.06

土呂部の水芭蕉

 土呂部に水芭蕉の自生地があるのは知っていたが、今までその水芭蕉を見に行ったことがなかった。
 そこで、今日は日光から霧降高原を抜け、大笹峠を越えて、黒部から土呂部へ・・・・・
 水芭蕉を見に行った。

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 霧降高原から大笹牧場を抜け土呂部を目指す。
 大笹峠で旅人を見守る石仏(山神?)と出会った。
 いつからこの峠を通る旅人を見守っているのだろうか・・・・・

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 鬼怒川(黒部ダム)に架かる青柳大橋をこえるとすぐに土呂部への案内板がある。
 黒部から土呂部渓谷への入口にも古そうな石仏が並んでいる。
 《場所はここをクリック》

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 土呂部渓谷沿いの路を山奥へ進み、土呂部ダムを左にやりすごす。
 目的の水芭蕉の自生地が土呂部集落の手前に現れる。
 フェンスで周囲を囲まれ手厚く守られている。
 駐車場は、車が5台程度とめられる空き地が入口横にある。
 《場所はここをクリック》

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 木道も整備されている。ゆっくり一周しても10分もかからない程度の広さ・・・・・

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 例年、4月下旬からが見頃を迎えるようだ。
 今年はすでに見頃は過ぎている。それでも、十分に楽しむことができた。
 水芭蕉だけでなく、コバイケイソウもたくさん自生していた。

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 この土呂部の集落をさらに進むと、湯西川と土呂部の分水嶺をなす藤ヶ崎峠をこえ、湯西川温泉へ至る。土呂部から湯西川にかけては、かつて秘境中の秘境であった。

 「夕方近く峠の頂へ出た。西南の方に男体女体の両山。それに太郎山が深い雪におほはれて天を摩してゐる。更に西の方には、奥白根の高い山がそびえ立つてゐる。男体や、白根を南西に見る奥山まで來たのかと思つて我ながら驚いたのである。峠の陽だまりに、蘭に似た小さい草が紫色の花を咲かせてゐた。

 土呂部渓谷の最後の部落土呂部までは、まだ一里あまりある。急坂を下つて漸く土呂部川の水源へ出た。川を見ると、岩魚がゐさうである。路草食ふのをやめて急いだ。土呂部部落の郵便箱のある庄家らしい家へ一夜の宿をお願ひ申した。

 ここの若い主人も釣と猟が好きである。食後炉端で、いろいろと山の話を聞かせて呉れた。・・・・・この辺には熊もゐる。タヌキもムササビも、羚羊もとれる。四五日前藤ヶ崎山の谷で穴から出た熊を、大戸の猟師が五頭とつたといふ。湯西川温泉を出て湯西川渓谷の最後の部落である大戸を通つた時、農家の軒に大きな熊の生皮がブラ下がつてゐたのはそれであつたかも知れない。・・・・・」

                 佐藤垢石 著 「釣の本」昭和13年4月刊 より抜粋

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2009.05.01

ふたたび氷室山へ

 一昨日の4月29日、氷室山へ登った、いや、登ったはずだった・・・・・。
 しかし、いろいろ調べてみると、氷室山山頂を勘違いしてしまったらしい・・・・・。

 ということで、本日ふたたび氷室山山頂を目指しました。

 今日のコースは、旗川源流のヤセ尾根から宝生山を経て氷室山を目指し、越路館沢から下山するコース。

 新緑の美しい旗川(大戸川)を遡行します。

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 宝生山と氷室山の分岐
 一昨日は右へ、今日は左へ進みます。

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 旗川源流の宝生山へのヤセ尾根コース
 急なうえに両サイドは底なしの崖・・・・・恐ろしい

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 やっとの思いで宝生山頂上へ

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 宝生山から氷室山を目指します。
 途中で足尾の山並みが・・・・・

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 あった・・・・・氷室山神社

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 神社裏手のピークに登ると、山標識が・・・・・

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 一昨日のぼったピークには石の祠と、小さな山標識があったのだが・・・・・
 こちらが氷室山でしょうネ

 とにかく、小ピークが幾つもあって、どれが氷室山なのか???迷ってしまいます。

 下山路は、一昨日登って来た越路館沢沿いを下ります。

 清らかで澄みきった沢とニリンソウの群生は、別天地。

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 ミツバツチグリや

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 こんな花まで・・・・・名前がわかりません。
 後で山渓ポケットガイドで調べたら「ヤマブキソウ」別名をクサヤマブキであることが判明。ヤマブキに似ているのでこの名前がついたそうです。

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