早春の尾瀬 山ノ鼻から尾瀬ヶ原へ
5月22日、山ノ鼻から胸を躍らせながら雪解け間もない尾瀬ヶ原へ入った。
(山ノ鼻の場所はここをクリック)
まず最初に現れる湿原が上田代。
今歩いてきた木道を振り返れば、残雪の堂々とした至仏山をのぞむことができる。
「広大な尾瀬ヶ原を差し挟んで東西に対立している燧ヶ岳と至仏山。燧の颯爽とした威厳のある形を厳父とすれば、至仏の悠揚とした軟らかみのある姿は、慈母にたとえられようか。原の中央に立ってかれを仰ぎ、これを眺めると、対照の妙を得た造化に感歎せざるを得ない。」
深田 久弥 著 「日本百名山」 1964年 新潮社 刊 より抜粋
上田代から仰ぐ見る至仏山
上田代は、尾瀬ヶ原の三湿原(上田代・中田代・下田代)の中では一番小さいが、ちりばめられた池塘が非常に美しい湿原である。
遙かゆくてには燧ヶ岳がのぞまれる。
「それにしても、・・・・・尾瀬は静寂そのものである。太古のままの森林は、昔ながらの姿で沼を囲繞し、鏡の如き水面は燧の倒影を映し、魚は群れをなして水草の間を游泳し、春きたれば雪は解け、夏きたれば花開き、秋至れば草木ことごとく錦繍を織りなし、冬には万物皆深い積雪の下に眠ってしまう。・・・・・」
武田 久吉 著 「尾瀬と鬼怒沼」 1996年 平凡社 刊 より抜粋
この池塘では、多くの生き物の営みを見ることができる。
一番目に付くのがサンショウウオ。
サンショウウオ
(尾瀬ヶ原には三種類のサンショウウオが生息しているという。)
雪解け水で増水した上ノ大堀川を渡り、狭い牛首を抜けると、尾瀬ヶ原の中央部である中田代に入っていく。
明るく広々とした湿原を、尾瀬ヶ原三又を抜け竜宮方面へ向かうと、下ノ大堀川に到着する。
至仏山を背景としたミズバショウの群落はすばらしく、尾瀬ヶ原を代表する風景となっている。
この下ノ大堀川から竜宮にかけては、湿生植物の宝庫になっている。
竜宮十字路周辺では、ミズバショウとリュウキンカが見頃を迎えている。
至仏山を背景に、木道沿いに咲くリュウキンカ
リュウキンカ
リュウキンカとミズバショウのコラボレーション
ショウジョウバカマ
タテヤマリンドウなどを見ることができた。
「水ごけのじくじくしたいわゆる水ごけ湿原を飾るものは、天から降った星かと見紛うばかりのタテヤマリンドウの紫唇が、幾百となく、燦々と降り注ぐ陽光を浴びて、笑いかけるそれであった。・・・・・・中略・・・・・
やがて上ノ大堀の幅広い流れを徒渉して右岸に上がると、湿原はいよいよ広く、その彼方には燧ヶ岳が悠然と、髻を天空にそそり立っている。」
武田久吉 著 「明治の山旅」 昭和46年刊 創文社 より抜粋
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