大雪山
大町桂月の言葉に
「富士山に登って山岳の高さを語れ 大雪山に登って山岳の大さを語れ」という名言があるが、実際、大雪山の偉大さは、その懐深く入らねばわからない。
大雪山といっても、それはある特定の峰を指すのではなく、北海道のほぼ中央部に広がる2000メートル級の山々の総称である。
黒岳・旭岳・トムラウシ山、広くは十勝連峰の十勝岳・富良野岳、さらに石狩岳など、岳人憧れの山々が連なる。
旭岳から望む山々
その最高峰は旭岳の2290メートルで、北アルプスの3000メートル級の山に比べると標高は劣るものの、高緯度にあり、森林限界は低く、高山帯の気象状況の厳しさは北アルプス以上といわれている。稜線を歩けば、その日本離れした景観が圧倒的に迫ってくる。
この大雪山の広がりを最も実感できるのは、白雲岳から南の高根ヶ原方面をのぞんだときであろう。高根ヶ原からトムラウシ山にいたる高原は全長15キロにも達し、あまりの雄大さに呆然となる。
白雲岳から高根ヶ原をへてトムラウシ山を望む
そして、なんと言っても、その原始の森には、人間を超える山の神キムンカムイ(ヒグマ)が存在することが特別の意味を持つ。ヒグマの存在を意識することが、山々の魅力をさらに増すことにつながっているのである。
大雪山の盟主 トムラウシ山
大雪山は神々の遊ぶ庭
アイヌはカムイミンタラと呼ぶ。