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October 2011

2011.10.29

晩秋の谷川岳(たにがわだけ)と一ノ倉沢

 「これほど有名になった山もあるまい。しかもそれが『魔の山』という刻印によってである。」と、深田久弥の「日本百名山」にも記され、かつては「魔の山」として怖れられていた谷川岳(標高1977メートル)も、今や多くの登山客で賑わう人気の山となっている。

トマノ耳の山頂からオジカ沢の頭・俎嵒(まないたぐら)方面の展望
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 谷川岳ロープウェイ土合口駅から10分程で、標高1320メートルの天神平駅へ着く。さらにリフトに乗り継ぎ標高1500メートルの天神峠へ向かう。
 天神峠の展望台からは、南に赤城山・上州武尊、東には至仏山や笠ヶ岳、北にはこれからむかう双耳峰の谷川岳と山頂へ続く天神尾根など、遮るものがない360度の大展望がひらけている。絶景である。

天神峠からの谷川岳
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 天神峠から尾根すじをいったん下り、すでに落葉したブナの林の中、木道の敷かれた道を緩やかに登ると熊穴沢避難小屋へ着く。
 
 熊穴沢避難小屋からはクサリ場の連続する岩まじりの急登となる。

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天狗の留まり場や天神のザンゲ岩を通過し、ガレ場の歩きにくい斜面をジグザグに急登する。

ガレ場
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 ガレ場を登りきると、谷川岳肩ノ小屋が建つ広場にでる。

肩ノ小屋
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 肩ノ小屋からは、笹原を右方向へ進むと谷川岳の頂上の一つ「トマノ耳」へ出る。
 山頂からは360度の大展望が楽しめる。

トマノ耳山頂からの「オキノ耳」(奥が一ノ倉岳・茂倉岳)
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 トマノ耳から、谷川岳最高点のオキノ耳へは10分程の距離。

オキノ耳頂上
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 切り立ったトマノ耳がよく見える。27日に降った雪が残り、日陰では凍りついており、非常に危険であった。

トマノ耳
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 下山後、1時間程歩いて、「魔の山」の由来となっている一の倉沢へ向かった。
 そそり立つ大岩壁に圧倒された。

一ノ倉沢
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2011.10.23

社山(しゃざん)

 奥日光中禅寺湖南岸に連なる山々の中で、ひときわ目立つ三角形の鋭鋒が社山(標高1827メートル)で、展望の良い尾根からは、奥日光側と足尾側の眺望が楽しめ、特に紅葉の時期が素晴らしい。

稜線上より望む男体山と中禅寺湖
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 車を歌ヶ浜の駐車場へ停め、一般車両進入禁止の中禅寺湖南岸の車道を進む。
 落ち葉のカーペットが敷き詰められたような湖畔の道を、狸窪を経由して、阿世潟まで、およそ1時間。阿世潟から左に折れ、阿世潟峠への登りにかかる。

中禅寺湖南岸の道
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 阿世潟峠への登りにかかると、鹿が甲高い「キー」という鳴き声とともに、猿が木々をゆすってこちらをしきりに威嚇する。
 峠への登りは、およそ30分程度。

阿世潟峠
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 阿世潟峠からは右の稜線上を進む。
 右手には日光側の眺望、左手には足尾側の眺望が広がる。

足尾側の山並み
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日光側の眺望
男体山の左手に太郎山や山王帽子山、そして戦場ヶ原も見える。
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 尾根上をまっすぐたどれば、これから越えなければならないピークが迫ってくる。

山頂手前のピーク
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 稜線上には、カラマツ林があり、この時期黄金色に輝いている。

カラマツ林
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 阿世潟峠から1時間30分程で社山の頂上へ出る。

山頂
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 山頂からの眺望は、木々で遮られているので、さらに少し先へ行くと、好展望で休憩に適した場所に出る。
 黒檜岳や錫ヶ岳・白根山、さらには皇海山や鋸山・庚申山などが間近に迫って見える。

黒檜岳へと続く稜線
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庚申山・鋸山・皇海山の眺め
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 三角形の山容が美しく、紅葉の八丁出島との組み合わせも素晴らしい。

社山と八丁出島と遊覧フェリー
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2011.10.16

尾瀬 笠ヶ岳(かさがたけ)

 群馬県側の尾瀬の入口である鳩待峠から尾瀬を訪れる多くは、至仏山や尾瀬ヶ原を目指すため、尾瀬のメインルートから外れた笠ヶ岳(標高2058メートル)を訪れる人は少なく、遮るもののない山頂からの眺めを静かに楽しむことができる。

笠ヶ岳山頂
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 鳩待峠から至仏山を目指して1時間30分程登って行くと、オヤマ沢田代を過ぎたところで、笠ヶ岳分岐に出るので、至仏山へのルートからはずれ、笠ヶ岳を目指す。

オヤマ沢田代
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 笠ヶ岳の登山道を入ってしばらく進むと、悪沢岳の標識を過ぎ、緩やかな下りとなる。
 前方に小笠ヶ岳と笠ヶ岳が見える。

小笠ヶ岳と笠ヶ岳
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 小笠ヶ岳山頂を巻くように進むと、目の前にひときわ大きな笠ヶ岳が現れる。
 さらに進み、笠ヶ岳の山腹を南面へ回り込むと、山頂への登り口がある。

笠ヶ岳直下の山頂への登り
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 山頂からは、遮るもののない大展望が開け、至仏山や燧ヶ岳、武尊山、日光白根山、皇海山などの名山を見ることができる。

山頂から上州武尊(奥)と片藤沼(手前)
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 山頂からの展望を存分に楽しんだら往路を戻ることになるが、帰路は至仏山や燧ヶ岳を目にしながらの下山となる。

笠ヶ岳からの尾根道(左に小笠ヶ岳・右に悪沢岳・中央ガスの向こうが至仏山)
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左から至仏・小至仏・悪沢岳
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 尾瀬の山上はすっかり晩秋の雰囲気で、ほとんどの木が葉を落としている。

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 鳩待峠からオヤマ沢田代まで1時間30分程、そこから笠ヶ岳まで1時間30分程度で片道3時間、往復6時間、距離にすると往復で12キロ程の山歩きである。

 登山口となる鳩待峠
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 今、紅葉の見頃は鳩待峠から津奈木橋、そいて笠科川沿いへと移っている。

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2011.10.09

会津駒ヶ岳(あいづこまがたけ)とヤマネ

 山腹のブナの黄葉に、尾根上の金色に輝く草紅葉と、すっかり秋化粧した会津駒ヶ岳(標高2132メートル)を、1年ぶりに訪れた。

駒ノ大池から会津駒ヶ岳を望む
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 日本百名山の一座で、深田久弥は「一頭地を抜いた峻抜な山の形には見えないが、その尾根の長いおだやかな山容が私を魅惑した。 (中略) 頂上は、私が今までに得た多くの頂上の中でも最もすばらしい一つであった。どちらを向いても山ばかり、その山々を名指すことで一時間は素早くすぎた。」と、その著書「日本百名山」に記している。

 登山口は、滝沢登山口から。前夜から車中泊し、出発したのが未明の4:30分で、ヘッドランプの灯りを頼りに、九十九折れのジグザグの登山道を急登する。

滝沢登山口
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 陽が昇ると、周囲のブナの黄葉が眩しいまでに輝きだす。

輝くブナの黄葉の中を登る
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 登山口からおよそ2時間30分程で、突然視界が開け、目の前の金色色に輝いた会津駒ヶ岳から中門岳へのなだらかな尾根が飛び込んでくる。
 既に駒ノ小屋に宿泊した人たちが歩いている様子が見える。駒ノ小屋は、駒ノ大池畔に立つ、管理人が常駐する山小屋。

駒ヶ岳頂上手前の小ピークに立つ「駒ノ小屋」
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 駒ノ小屋で小休止後、会津駒ヶ岳山頂と、その奥にある中門岳(2060メートル)を目指す。

山頂直下からの眺め(燧ヶ岳が霞んで見える)
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これから向かう中門岳へ続く尾根。金色に輝く草紅葉ロード
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 会津駒ヶ岳から中門岳への尾根上には、無数の池塘が点在し、いわゆる高層湿原となっている。池塘は、金色に輝く草紅葉に囲まれ、青い空を池面に写し出す。

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 尾根上で一番大きな池塘がある場所に、中門岳の標柱が立つ。しかし、ここが山頂とは全く思えない。

中門岳
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 草紅葉ロードは、中門岳からさらに奥へ続いており、その最奥にある朽ちかけたベンチがお気に入りの休憩場所。

だれもいない山上でちょっとお昼寝(まだ朝の8時30分頃です)
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 今回、会津駒ヶ岳の山神さまが微笑んでくれた。
 なんと、国の天然記念物で準絶滅危惧種のヤマネが遊びに来てくれたのです。
 山仕事に携わる人々の間では、ヤマネを山の守り神として、大切にしてきたそうな。

ヤマネ
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2011.10.08

羽賀場山(はがばやま)

 標高こそ775メートルと低いものの、栃木県内に13しかない一等三角点のある羽賀場山を訪れた。この山で「栃木百名山」70座目になる。
 羽賀場山は、鹿沼市から古峯神社に向かう古峰原街道沿いにある「長安寺」が登山口(場所はココ )となっている。

長安寺入口
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 古峰原街道から長安寺入口を右に折れてすぐ、道路右側に駐車場がある。そこが登山口になっており、小さな案内板も立っている。

登山口
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 案内板に従って山の斜面にとりつき、見晴らしの利かない植林されたスギ林のなかを登って行く。

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 途中、東京電力の二つの送電線鉄塔の下を通り過ぎ、尾根上を進むと、おそよ1時間30分程で山頂へ到着する。山頂の展望は木々に遮られて全くきかない。

羽賀場山山頂
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 羽賀場山から、尾根づたいにさらに1時間30分程進むと「天気山」へ縦走することができる。山頂には広場があり、不動明王などの祠が祀られており、眺望も素晴らしいらしい。

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2011.10.02

鷲子山(とりのこさん)

 栃木県と茨城県の県境に位置し、山頂には「鷲子山上神社」があり、古くから信仰の山として賑わいを見せた名山で、周辺は杉などの古木が生い茂るなど、貴重な自然の残されている栃木百名山の鷲子山(標高468メートル)を訪れた。

鷲子山上神社 楼門
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 山頂(鷲子山上神社)へは、栃木県側と茨城県側から行くことができるが、歩いて登るには、栃木県那珂川町矢又地区から、旧参道を登ることになる。

 国道293号線沿いの入口(場所はココ )には、おおきな案内板が掲げられており、「鷲子山上神社出口」とある。そこを折れて細い道を山上に向かって進むと、道路の分岐に目立つ案内板が立つ場所へ出る。そこが登山道入口になる。

登山口入口(ここを左へ進む):場所はココ
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 案内板のある道路分岐に駐車スペースが3台程度あるので、そこに車を停め、案内板に示された鷲子山上神社への道ではなく、左手の道を上っていく。
 すぐに石造りの橋(太鼓橋)があるので、そこから右に折れ、舗装されていない荒れた山道の旧参道をジグザグに登っていく。

神様が渡る太鼓橋
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荒れた登山道(旧参道)
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途中には、道程を示す「丁石」が置かれており、ちょうど十二丁目が神社になっていた。

「丁石」:一丁目から十二丁目まで確認できた。
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 およそ40分程の登りで舗装された新参道へ合流するが、新参道(車道)を歩いて行くとすぐに鷲子山上神社へ到着する。

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 鷲子山上神社は、807年創建の古社で、神社の境内の真ん中が県境となり、茨城県と栃木県でちょうど二分されている珍しい神社である。

県境を示す看板もあった
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 石段を登り切ると、山頂に鷲子山上神社の本殿が鎮座しており、その社殿の東には、樹齢千年と言われる杉の巨木が立っている。

鷲子山上神社本殿
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とちぎ名木百選の鷲子山千年スギ
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 それにしても、境内には石造りのフクロウが多数祀られている。
 フクロウは「福ろう」や「不苦労」に通じ、縁起が良いとして祀られているらしい。

 なかでも、日本一の「大フクロウ」には驚いた。
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松倉山(まつくらさん)

 栃木県那須烏山市と茂木町の境に位置し、茨城県との県境にも近く、山頂には一等三角点のある栃木百名山の松倉山(標高345メートル)を訪れた。
 登山ルートは、那須烏山側・茂木側と、それぞれあるが、今回は那須烏山市の大木須から入山した。

 大木須地内を通る県道274号線際から、松倉山登山口を示す案内板を折れ、農家の庭先をかすめるように舗装された狭い道を進んで行く。 (登山道入口はココ)

登山道入口を示す案内板
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 途中、舗装が途切れるが、そのまま松倉山観音堂を目指し林道を進むと、再びコンクリートで固められた路面となる。林道終点には広い駐車場がある。

一部舗装されていない箇所もあるが、乗用車の通行可
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 林道終点の駐車場に車を停め、「松倉山観音堂」の案内板に従って暗い登山道を登って行くと、すぐに栃木県指定重要文化財に指定されている松倉山観音堂へ着く。

松倉山観音堂
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 山頂へは、観音堂の石段を下り左へ行く。
 10分も登ると、切り通し状になるが、頂上へは左手にある踏み跡を登るので、頂上への分岐点を見失わないようにする。固定されたトラロープと赤いリボンが目印だ。

山頂への分岐
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 山頂は、広場状になっており、小さな祠と一等三角点が置かれている。

松倉山山頂には小さな祠が置かれている
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 栃木県内で一等三角点が置かれている山は12箇所ある。
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 観音堂直下の駐車場まで車で入ると、15分程で山頂へ到着する。

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2011.10.01

奥日光の紅葉 -10月1日-

 奥日光の紅葉の状況は,戦場ヶ原で草紅葉が黄金色の輝きを見せているものの、小田代ヶ原は湖化して草紅葉は見られそうにもない。
 その他木々の紅葉も、うっすらと色づき始めた程度で、まだまだこれから。

 9月3日の台風12号の影響で、小田代湖となった小田代ヶ原は、その後台風15号の影響で、さらに水位が増し、一部では木道も沈んでいる状況が続いていたが、木道の上にさらに木道を架けるなどの補修の結果、特に問題なく歩けるようになっている。

 10月1日(土)の小田代ヶ原の様子
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 今年は草紅葉は残念ながら見ることはできないのでは。

 ところで、木道はというとご覧のとおり。

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 一部の木道が水に浮いており、足をおくと沈み込み箇所があるので要注意。

 戦場ヶ原の様子はというと、草紅葉が見頃を迎えている。

太郎山・小真名子山・大真名子山をバックにした戦場ヶ原の草紅葉20111001035

男体山をバックの戦場ヶ原
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 戦場ヶ原を流れる湯川沿いの紅葉
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 木道沿いには、リンドウが咲いていた。

花を開いたリンドウ(竜胆)
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黒檜岳(くろびだけ)

 栃木県奥日光、中禅寺湖南西部に位置し、訪れる人もまばらな栃木百名山の黒檜岳(標高1976メートル)を訪れた。

早朝、千手ヶ浜から望む男体山
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 戦場ヶ原の赤沼駐車場に車を停め、早朝5時30分発の低公害バスで千手ヶ浜へ向かう。

 千手ヶ浜から、外山沢川と柳沢川をこえ、中禅寺湖畔を左手に男体山を望みながら西へ進むと、やがて日光開山の祖勝道上人によって創建されたという千手堂跡に着く。
 さらに中禅寺湖畔を200メートル程進むと、黒檜岳入口を示す道標が立っている。

登山道入口
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 ジグザグの登山道を上り、沢を渡ると、シャクナゲの大群落が登山道の両側に広がっている。6月のシャクナゲの花の季節に是非訪れたい山である。

沢を渡渉し
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シャクナゲの群落の中を進む
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 途中、背後を振り返ると、中禅寺湖と男体山の姿が素晴らしい。

男体山と碧く光る中禅寺湖
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 九十九折りの登山道を上り詰めると、尾根へ出る。ここにも道標が立っているので迷うことはあるまい。
 尾根からは左へと進み、再び急登となる。

 尾根スジの木々の切れ目から、白根山がよく見える。

日光白根山
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 やがて上りも緩やかになり、コメツガやシラビソの林の中の進んでいくと、少し急な上りがあらわれる。ここを上りきると、登山道は社山への道と黒檜岳山頂への道へと分岐する。

 樹林帯の中の平坦なトレイル
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 黒檜岳山頂へは右へ進路をとる。
 山頂は平坦で、コメツガやダケカンバの林の中で、全く眺望が利かない。しかし、ほとんど訪れる人もいない静かな山であり、深山の趣を存分に味わうことができる山である。

黒檜岳山頂
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 千手ヶ浜から登り2時間30分程度、下り2時間程度の山歩きです。

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