苗場山(なえばさん)
新潟県と長野県の県境に位置し,その頂に山頂湿原が広がる苗場山(標高2145メートル)を訪れた。
1811年(文化8年)夏、苗場山に登り「北越雪譜」(ほくえつせっぷ)を記した越後・塩沢の商人鈴木牧之は,その中の「苗場山に遊ぶ記」で,「苗場山は越後第一の高山なり、魚沼郡にあり登り二里といふ。絶頂に天然の苗田あり、依って昔より山の名に呼ぶなり、峻岳のいただきに苗田ある事甚だ奇なり」と苗場山を表現している。江戸時代にはすでに名山として登られていたことになる。
その鈴木牧之が登ったであろう祓川コースで、苗場山の頂上を目指した。
新潟県側のかぐら・みつまたスキー場の第二リフト町営駐車場に車を駐め、ゲレンデ内を登山口となる和田小屋を目指して歩く。
駐車場には水洗トイレも完備されている。
和田小屋からゲレンデ内を横切り、登山道へ入る。
登山道は、樹林帯の中の滑りやすい岩のトレイルが中心で、所々に木道が敷かれている。
途中、下ノ芝・中ノ芝・上ノ芝と呼ばれる平坦地に出るが、休憩用の木製ベンチが整備されている。
小松原分岐を過ぎるころから傾斜が緩やかになり、股ズリ岩と呼ばれる大岩を越えると、神楽ヶ峰へ到着する。
股ズリ岩付近から神楽ヶ峰へ
神楽ヶ峰山頂付近から高山の花々が見られるようになる。
神楽ヶ峰の山頂を過ぎると、目指す苗場山が始めてその姿をあらわすが、山頂にテーブル状の湿原が広がっていることが想像できない山容である。
苗場山へは、神楽ヶ峰から鞍部へ下り、急登を登り返さなければならないが、神楽ヶ峰から苗場山への鞍部の途中に、雷清水(かみなりしみず)と呼ばれる水場があり、おいしい石清水が湧きだしている。
また、水場から鞍部にかけては高山植物が多く、お花畑となっている。
お花畑に咲く色とりどりの花々・・・・・
このほかにも、クガイソウ・シモツケソウ・タカネニガナ・オニアザミ・ヤマハハコなど、紹介しきれない程たくさんの花が咲いていた。
お花畑を過ぎると、山頂への急登となるが、登るにつれて、今まさに歩いてきた神楽ヶ峰や鞍部の展望が開けてくる。
30分程の急登を登り詰めると、山頂湿原の一角に出る。
目の前には、大小の池塘と草原が広がり、その広大な湿原の中に、山頂に向かって一本の木道が敷かれている。
木道をたどれば苗場山山頂に着く。
「北越雪譜」の作者は、この山頂を耕作して田んぼをつくった人々があったのであろうと感慨にふけっている。
それにしても、湿原には山頂湿原にはどんな花が咲いているのかと期待していたのだが、タテヤマリンドウとイワイチョウ、ワタスゲぐらいしか目につかなかった。
また、山頂は木々に囲まれ、残念ながら眺望は得られない。
和田小屋から山頂までおそよ4時間、山頂に建つ山小屋の苗場山頂ヒュッテで疲れた体を癒す。
下山はおよそ3時間、往路をもどることになるが、滑りやすい岩の急坂が多いので、スリップしないよう注意する必要がある。
下山してみると、駐車場には多くの車が停められていた。
「トレッキング・登山」カテゴリの記事
- 小町山~鬼越山~宝篋山の周回コースへ(2023.03.12)
- 早春の黒斑山(2023.03.05)
- 筑波連山縦走 加波山~足尾山~きのこ山~筑波山(女体山)(2023.01.29)
- 筑波連山縦走(御嶽山~雨引山~燕山~加波山のピストン)(2023.01.22)
- 吾国山から加賀田山・館岸山(宍戸アルプス)縦走へ(2023.01.02)
「日本百名山」カテゴリの記事
- 早春の黒斑山(2023.03.05)
- 浅間外輪山 黒斑山へ(2022.12.28)
- 黒斑山へ ~浅間山の絶景を求めて~(2022.01.30)
- 雪の黒斑山へ(2021.12.19)
- 会津駒ヶ岳 滝沢登山口~キリンテ登山口へ(2021.06.27)