鳥海山(ちょうかいさん)へ
山々を紹介するコメントに,『特に山頂からの展望は格別で、天候が良けば、・・・・・』という常套句があるが,そう、天気さえ良ければ・・・・・、なのである。
今回、初めて鳥海山を訪れたが、終始濃いガスに包まれ、展望はおろか鳥海山の山容さえ確認することができなかった。(まぁ、出直してこいということか・・・ )
さて,登山口は、鉾立登山口。
登山口にはレストハウスやビジターセンターが建ち、多くの観光客で賑わっている。
お盆の真っ只中によくぞ渋滞を怖れずここまで来たものだ。
登山前日、前夜泊するため、観光客とは別の登山者専用の駐車場に車を停める。幸いにして駐車場の混雑はなく、絶好のビューポイントに駐車することができた。
駐車場から、日本海に沈む夕陽、そして夜は天の川や流星群を心ゆくまで眺めることができた。
登山当日、朝の4時30分に出発、まだ暗い中をヘッドランプの灯りを頼りに、石畳のよく整備された登山道を登る。
明るくなり、周囲がはっきりと見えるころ、溶岩がゴロゴロしてた「賽の河原」へ出た。
賽の河原は山中の窪地のような場所で、ニッコウキスゲやリュウキンカなどが咲いていた。
賽の河原から、さらにひと登りすると尾根上へ出るが、強風と濃いガスのため全く何も見えない。本当なら進み行く正面に鳥海湖や鳥海山の山容が見えるはずだが・・・残念である。
強い風に運ばれる霧の粒が容赦なく顔にぶつかり、自分の足下しか見えないような状況の中、突然目の前に「御浜小屋」が現れた。
御浜小屋には何組もの登山者が、このまま山頂目指して進もうか、それとも撤退するかを決めかねて、停滞していた。
とにかく行けるところまでと、小屋を後にすると、瞬間だがガスの切れ目から「鳥海湖」を見ることができた。このあたりは広大なお花畑となっているはずで、今回の鳥海山登山の一番の楽しみであったが、周辺の花を散策する余裕はまったくなく、写真さえ撮りにくい状況であった(強風で花が激しく揺れていてピントがあわない)。
登山道のいたるところで、ハクサンシャジンが群落をつくっていた。
途中、コースが分岐する「七五三掛(しめかけ)」で、左手の「千蛇谷(せんじゃだに)」へと下りて行く。
振り返ると、歩いてきた道がはっきりと見える(行程中唯一視界が開けた瞬間)。
千蛇谷の底には雪渓が横たわり、雪渓を横断して対岸に移る。
雪渓の前後から、イワギキョウやイワブクロが目に付きだした。
いよいよ山頂への急登にかかるが、ガスで周囲の状況が分からないまま、山頂直下に建つ「大物忌神社(おおものいみじんじゃ)」へ着いた。
神社の周辺の岩場では、鳥海山を代表する花の一つであるチョウカイフスマが咲いていた。
大物忌神社から、新山の山頂目指して、巨石が積み重なる急斜面を登っていく。
いよいよ風は強く、ガスは雨粒となってたたきつける。
登り着いた新山山頂ではカメラさえ出せず(風とガスのため)、逃げ帰るように大物忌神社へ引き返した。
雄大な眺望と、高山に咲く花々を期待した鳥海山であったが、花の時期には少々遅かったようである。咲いていた花は、そのほとんどが秋の花で、お目当てのハクサンイチゲの群落に出会うことができなかった。
再訪を期す。