福島県伊達市の観光のシンボルであり、阿武隈山地の秀峰として知られている霊山(りょうぜん)を訪れた。
山肌の木々はすっかり落葉し、日陰にはうっすらと白い雪が見られるなど、冬本番への準備はすでに整ったようだった。
岩の尖峰が連なる霊山(標高825メートル)

霊山の麓、こどもの村最奥にある霊山登山口駐車場に車を駐め、露岩が折り重なる山肌を見上げながら、霊山登山の準備にかかる。
駐車場には、とてもキレイなトイレが設けられており、登山者用にマップや案内板も整備されている。
駐車場からしばらくは、落ち葉の敷き詰められた整備された登山道をゆっくりと登っていく。
登りの途中で、霊山岩峰への入口として「鍛冶屋小屋岩」が出迎えてくれる。
登りが緩やかになったところで、南と西側の展望に優れた「宝寿台」へ出る。宝寿台の上へは、鉄梯子を登らなければならず、また、岩場の足下は垂直に切れ落ちた崖となっており、ちょっとしたスリルを味わうことができる。
宝珠台

宝珠台からは阿武隈山地が一望できる

続いて、「見下し岩」と呼ばれる展望台(宝珠台と似た岩場)を過ぎ、その先の「国司沢」から見る対岸の岩峰は見応えがあった。
国司沢からの秀景

「天狗の相撲場」という岩場はまさに岩柱の上にできた土俵だが、落ちても大丈夫な天狗しか相撲をとることはできないだろう・・・などと考えてしまう。
天狗の相撲場

断崖をトラバースする「親不知子不知」を通り、「護摩壇」へ出るも、西の空は雲が低くたれこめて、安達太良山を見ることはかなわなかった。
親不知子不知


護摩壇を過ぎると、霊山の歴史の中枢であった「国司館跡」、「霊山城跡」へ出る。
平安初期に慈覚大師によって開山され東北の霊場の中心として、また南北朝時代には、南朝の北畠顕家が義良親王を報じて国府を開くなどして栄えた霊山の歴史は、落城してから六百年以上たった今日、山中に深く埋もれたままになっている。
霊山城趾

城跡から霊山の東側へ回ると、最高地点である「東物見岩」(825メートル)へ出る。
東物見岩は、その名の通り東側の展望が開け、遠く太平洋まで見ることができる。
東物見岩

「学問岩」の先に、三等三角点が置かれた805メートル峰がある。
霊山の最高峰は東物見岩だが、三角点峰はこの805メートル峰であり、どちらを山頂としているのだろうか。
「蟻の戸渡り」、「望洋台」、「五百羅漢岩」、「弘法の突貫岩」など、イメージ豊かな名前のついた岩場を次々と通過し、「大山祇神社跡」へ向かう。
巨大な岩峰の奥に祀られた大山祇神社跡には、小さな石の祠が祀られており、祠の近くからは古銭が見つかった。
大山祇神社跡


南側に開けた好展望地の「日暮岩」で休憩していると、突然雪が降ってきたので、急いで下山することになった。
突然の雪

今度は、是非紅葉の時期に訪れたいものだ。