北海道

2015.09.21

羊蹄山(シリベシヤマ・後方羊蹄山・マッカリヌプリ)

 日本百名山で、その美しい裾野を引く姿から「蝦夷富士」の名で親しまれている羊蹄山(ヨウテイザン・標高1898メートル)を訪れた。
 日本百名山には「後方羊蹄山(シリベシヤマ)」として選定されているが、アイヌ語では「マッカリヌプリ」と呼ばれ、一部には「真狩岳」との呼び方もあったようで、昭和44年から単に「羊蹄山(ヨウテイザン)」にその名が統一されている。

 その深田久弥著「日本百名山」では、後方羊蹄山について、次のような記述がある。

 「(前略)後方羊蹄山はドッシリと重く、一種の圧迫を感じる。古来蝦夷富士と呼ばれただけあって、その整正な山容はどこから眺めても形を崩さない。」

後方羊蹄山
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 さて、早朝5時30分、羊蹄山の西側、半月湖畔自然公園からさらに奥に進んだ半月湖野営場に車を停め、倶知安コース登山口から山頂を目指す。

倶知安コース登山口となる半月湖野営場(駐車場・トイレ有)
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倶知安コース登山口
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 登山口からしばらくは傾斜のほとんどないまっすぐな林道を歩く。

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 林道が終わると1合目(合目の道標がしっかり整備されている)。
 右手の斜面に取り付き、ジグザクの急登が始まる。

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 2合目への途中、「風穴」があり、ヒカリゴケを見ることができる。

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 2合目から尾根に取り付くと、そこから先はひたすら単調な急登が続く。
 時折、昨日登ったニセコアンヌプリや倶知安市街を見ることができる。

眼下に広がる雲海20150921008

 3合目から5合目にかけてはエゾマツの原生林が広がっている。

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5合目付近からのニセコアンヌプリ
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 6合目からは傾斜がさらに急になり、えぐれた登山道に色づいたダケカンバやハイマツが覆いかぶさってくる。
 木々の色づきの変化がなかったら、どれほど単調な登りなのだろうか。とにかくしんどい。

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 ハイマツ帯を抜けると9合目となり、避難小屋への道を分け、左を進む。

9合目分岐(帰りに撮影・頂上へは左を進む)
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 ガスに覆われ見通しの利かない登山道を進むと、あちこちにコケモモが真っ赤な実を付けている。

コケモモ
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こんなやさしいメッセージが・・・・・

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 火口縁に出ると、幸いなことにさっきまでのガスも風に流されたようで、視界が一気に広がり、火口と頂上部を一望できるようになる。
 これまでの単調な登りから開放され、気分までも広々とする。

 ここから、およそ1時間かけての頂上お鉢まわりをする。

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避難小屋掲示のお鉢まわり案内図(黄色が今回のコース)
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 羊蹄山には、一番大きな父釜と、母釜、子釜の3つの火口があるが、いずれの火口の草紅葉も陽の光を受け金色に輝いていた。

火口のひとつ「母釜(ははがま)」
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母釜に寄り添う「子釜」
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火口縁を頂上目指して進む。

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一番大きな火口の「父釜」
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 来た道を振り返ると、火口の縁に沿って登山道が続いているのがわかる。

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 羊蹄山の山頂手前のピークの標高1893メートル地点に一等三角点が置かれている。

一等三角点(標高1893メートル)
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羊蹄山山頂(標高1898メートル)
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 山頂でのランチにフジパンのスナックサンドを食べた。「黒糖スナックきなこ」と「道産ハスカップ&ホイップ」の2種類。これって北海道限定なのか?
 ヤマザキのランチパックが有名だが、実はフジパンが携帯サンドイッチを発売したのが1975年の9月15日で、こちらが携帯サンドイッチの元祖らしい。

フジパン スナックサンド「道産ハスカップ&ホイップ」20150921030

 山頂ピーク
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 山頂で休憩した後、さらに火口縁を先へ進むが、かなり険しい岩ばかりの道となる。

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 岩場の所々に、イワギキョウが先残っていた。

イワギキョウ
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 火口縁を巡り、真狩コース・避難小屋への分岐から、避難小屋経由で倶知安コースを下山する。

 火口縁から避難小屋までは、赤や黄に色づいた草紅葉の中を進む。

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避難小屋
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 避難小屋から草紅葉の中をさらに進み、倶知安コースの9合目へ合流する。

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 9合目からは往路をひたすら戻ることになる。途中、3合目付近からは、雨に降られながらの下山となった。

 参考までに、登山口にある案内板を載せておく。

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 倶知安登山口(5時30分発) →(4時間)→火口縁→(30分)→頂上→(1時間10分)→避難小屋→(3時間)→倶知安登山口(14時20分着)

 全行程、およそ9時間の山歩き、下山直後から翌日まで、久しぶりの筋肉痛となった。
 登山で筋肉痛となり、歩行がままならぬ状態を、「ボロット」と呼んでいる。

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2015.09.20

ニセコアンヌプリ

 9月のシルバーウィークを利用して、後方羊蹄山とその周辺の山々へ登ろうと、19日に羽田から空路千歳へ、千歳からはレンタカーで宿泊先のニセコアンヌプリ南麓の「ニセコ昆布温泉甘露の森」へ向かった。

久しぶりの羽田空港(画はイメージ)20150919001

 9月20日(日)、まずはニセコ連峰の主峰、ニセコアンヌプリ(標高1308メートル)を登る。
 今にも雨が降り出しそうな天気の中、イワオヌプリとニセコアンヌプリに挟まれたニセコ五色温泉のニセコ野営場から登山を開始。
 車は、利用料の100円を払って、野営場の駐車場を利用させてもらった。

ニセコ野営場の駐車場(手前の建物がトイレで奥が管理棟)
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 コース前半は、展望の利かない登山道だが、途中から尾根に出ると、ガスの切れ間から、これから目指すニセコアンヌプリの二つのピークを仰ぐことができた。

ニセコアンヌプリ
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また、西に連なるニセコ連峰、特にイワオヌプリの眺めが素晴らしい。

イワオヌプリ(標高1116メートル)
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 標高を上げるにつれ、木々が紅葉している。

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 登山道の横には、咲き残ったエゾオヤマノリンドウや、シラタマノキの実が目に付いた。

エゾオヤマノリンドウ
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シラタマノキ
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 赤や黄に色づいた登山道を、五次期温泉やニセコ連峰を眺めながらゆっくりと登る。

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五色温泉
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 山頂に近づくとガスに覆われ、大粒の冷たい雨が落ちてきた。
 手前のピークから本峰までは傾斜のない道を進むが、全く眺望が利かない。

 山頂から後方羊蹄山の大展望を期待していたが、残念である。
 どうして、いつも期待を裏切られるのか・・・・・。

ニセコアンヌプリ山頂
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 雨が小降りになるまで、山頂の避難小屋で外国人の4人組と一緒に雨宿り。
 ニンジンをそのままかじっていたのが印象的だった。

山頂避難小屋
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 雨がやんだので、写真撮影会

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 下山コースは、ニセコアンププリゴンドラ駅へ下りるルートもあるが、往路を引き返す。

 紅葉したトレイルを、うなだれ気味に下山する。

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 さぁ~ 明日は後方羊蹄山だ。

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2009.08.28

旭山動物園

 「行動展示」や「もぐもぐタイム」等、斬新なアイデアで今や年間の来園者数が300万人を超える、超人気の旭川市旭山動物園。
 平成8年入園者数26万人で入園者数最低を記録し、旭川市のお荷物動物園と言われてから、10年後の平成18年には入園者数が300万を超えるまでに躍進している。

 そんな夢の動物園、人気の1つが2000年にできた「ぺんぎん館」。
 陸上をヨチヨチ歩くイメージが強いペンギンだが、水中ではものすごいスピードで泳ぎ回り、その能力が最大に発揮された姿を見ることができる水中トンネル。

陸の上のペンギン:(これはこれでカワイイ)
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水中トンネルを泳ぐペンギン:(水中を飛んでいる)
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水中で遊ぶ?ペンギン
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 これも人気の展示の1つ、2002年にできた「ほっきょくぐま館」
 「もぐもぐタイム」を見学するため辛抱強く列に並び、うれしいことに最前列でホッキョクグマを見ることができた。ホッキョクグマの水中での姿を見るのはこれが初めてになる。

エサの小魚をくわえたホッキョクグマ
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水中でエサに向かうホッキョクグマ
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 そして、2004年にオープンした「あざらし館」。
 陸上で寝そべっているイメージしかなかったアザラシだが、縦の動きを取り入れることでアザラシの素晴らしい動きを見ることができるようになっている。

マリンウェイ(円柱トンネル)を上下するアザラシ
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「もぐもぐタイム」でエサを食べるアザラシ
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 昨年、2008年に新しくオープンしたのが「おおかみの森」
 残念ながら暑さのため日陰に寝転んでのお昼寝タイム中。

「おおかみの森」入口:(「えぞしかの森」が併設されている)
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 ところで興味のある方は、この旭山動物園の副園長(執筆当時副園長、2009年4月からは園長に)で獣医でもある坂東元さんの書いた「夢の動物園(旭山動物園の明日)」 角川学芸出版、の一読を勧めます。

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美瑛・富良野の風景

 十勝連峰をバックに丘の連なる美瑛・富良野で出合った美しい風景の数々・・・・・

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四季彩の丘
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赤い屋根の家
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 丘ではないけれど、白金温泉を流れる美瑛川にある白ひげの滝

白ひげの滝
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 同じく白金温泉近くにある碧い池

碧い池
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 そして美瑛川、別名その碧い流れからブルーリバーと呼ばれている。

美瑛川
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2009.08.27

十勝連峰 富良野岳

 十勝連峰の南端で、独立峰のような安定感あるどっしりとした山容を見せてくれる標高1912メートルの富良野岳は、十勝連峰の中では比較的古い火山で、「花の百名山」に選ばれるほど高山植物が豊富なことでも人気を集めている。

富良野岳:(左のピークが山頂になる)
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 今回は十勝岳温泉からの入山となる。
 十勝岳温泉の登山口から安政火口までは林道を歩く。

 安政火口は、幕末の探検家、松浦武史郎が「火脈燃立て黒烟刺上るを見る」とその探検記「十勝日誌」に誌したように、安政4(1857)年の噴火で出来た火口である。

安政火口:(今なお噴煙があがり、硫黄臭が漂う)
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 安政火口手前で右に折れ、1つ尾根をこすと上ホロカメットク山との分岐に着く。
 この付近はハイマツ帯になっており、ハイマツの球果をエサとするホシガラスが上空を飛び交い、エゾシマリスが地を走り回っている。遠くの岩場からはナキウサギの声も聞こえてくる。

ホシガラス
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 また、キタキツネもこちらの様子をうかがっている。

キタキツネ
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 上ホロ分岐から、稜線上の富良野岳分岐までは、ずっと正面に富良野岳や三峰山を眺めながらの快適な登山となる。
 稜線上の富良野岳分岐を右に行けば富良野岳、左に行けば三峰山を経て十勝岳へ。

三峰山:(富良野岳分岐へ向かうトレイルがよく見える)
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 富良野岳山頂からの眺めは良く、十勝連峰の山々を眺めることができる。

富良野岳山頂からの眺望:(中央やや右寄りの尖ったピークが十勝岳)
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 ところで、高山植物はというと・・・・・

オオバミゾホオズキ
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ヨツバシオガマ
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カラフトイチヤクソウ
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ミヤマリンドウ
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 これらの他にも、コマクサやゴゼンタチバナ、エゾヒメクワガタ、ダイセツトリカブト、コウメバチソウ、トカチフウロなどの花々も楽しむことができた。
 ただ十分に高山植物を楽しむには時期がちょっと遅かった・・・・・残念。

 最後は十勝岳温泉登山口にある山神さまに無事に下山したことを報告する。

大山神さま
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 富良野岳はなかなか素晴らしい山である。
 それにしても、すれ違う登山者はなぜか女性ばかりだった・・・・・?
 

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2009.08.26

十勝連峰 美瑛岳

 山麓の白金温泉や美瑛の丘からの望む美瑛岳は、左の美瑛富士と並び、槍のように鋭い山容を見せてくれる。
 また、十勝岳の縦走路(稜線)からは、ポンピ沢に落ち込む深い断崖の上に、岩の稜線が走り、一種独特の力強い雰囲気で迫ってくる。

山麓からの美瑛岳:(左が美瑛富士)
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 今回は、十勝岳からの縦走になる(十勝岳まではこちらを参照)
 まず、十勝岳の頂上から、火山地形の砂礫帯の平ヶ岳と呼ばれる平坦地を抜けるが、目印がなく迷いやすい。

 鋸岳に近づくにつれて尾根がはっきりしだす。

鋸岳:(右のピークが鋸岳)
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 トレイルは鋸岳の稜線から分かれてトラバース気味に東側へ下っている。

鋸岳から下りきった地点:
(中央左のピークが鋸岳、そのすぐ右横に十勝岳山頂が見える。ここから美瑛岳への登りが始まる。)
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 美瑛岳への登りが始まると、次第に高山植物がその姿をあらわす。

イワブクロ
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イワギキョウ
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メアカンキンバイ
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 美瑛岳は、山頂の南側が大きく切れ落ちており、崖上の岩の稜線上を頂上目指す。深く切れ込んだポンピ沢は迫力がある。

ポンピ沢:(中央が十勝岳)
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崖上の稜線を頂上目指す:(左のピークが美瑛岳山頂)
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 やがて崖上の稜線からはなれると美瑛富士との分岐にさしかかるが、ここから山頂へ向かって最後の登りとなる。

山頂からの美瑛富士の眺望:(左が美瑛富士、右奥がオプタテシケ山)
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山頂からの十勝岳の眺望:(右のピークが十勝岳)
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 山頂は十勝岳同様、狭い岩場になっている。
 周囲の山々や山麓の樹海の眺望を楽しんだあとは、一気にポンピ沢まで急降下する。

 あとはポンピ沢を渡渉し、ロープを頼りに雪渓を渡るなどしながら、雲ノ平を経て、望岳台まで戻ることになる。

雪渓を渡る
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 望岳台→十勝岳→美瑛岳→望岳台
 16キロ 9時間 疲れたぁ~

 完璧な どこにも傷のない 希な日・・・・・・・・ 

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十勝連峰 盟主 十勝岳

 白い噴煙を山腹から空に向かって噴き上げる十勝岳を主峰に、富良野岳からオプタテシケ山まで10座ほどの山々を連ね、起伏ある魅力的な稜線と、深く食い込んだ渓谷が迫力ある十勝連峰。
 その盟主 十勝岳(標高2077メートル)は、その左右に美瑛岳と富良野岳をしたがえ、ひときわ高く突き出た円錐形の頂が富良野盆地からよく目立つ、今なお噴煙を上げる活火山である。

望岳台からの十勝岳Img_4792

 「十勝は生きている火山という強い印象を与えられる。火口壁の残骸のボロボロの岩尾根や、一木一草もない黒ずんだ砂礫のザクザクした斜面や、噴火の猛威のあとがまだなまなましく残っている。」
       深田 久弥 著 「日本百名山(新装版」 1991年 新潮社 刊 より抜粋

 昨年、同じ大雪山系のトムラウシ山へ登ったとき、次は十勝連峰へと心に決めていたが、その念願が叶い、今回、望岳台から登る機会を得た。

 早朝にもかかわらず、既に登山口にあたる望岳台には、登山者のものとおぼしき車が何台も駐車してあった。
 まずは、だだっ広い、岩礫帯の歩きずらいトレイルを、最近建てなおされた十勝岳避難小屋を目指し登り始める。

岩礫帯の歩きずらい登山路:(中央に見える小屋が十勝岳避難小屋)
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 この周辺は、植生もだいぶ復活してきているようで、エゾオヤマノリンドウやシラタマノキが、登山者の目を楽しませてくれる。

エゾオヤマノリンドウ
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シラタマノキ:(その白い実はメンソールの香りがする)
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 避難小屋で小休止後、すぐ左の尾根へ取り付き、噴煙を上げる前十勝の噴火口を避けるように高度をかせぐ。

 しばらく登ると、平坦な砂礫地帯のグランド火口の縁部に出る。 

グランド火口の縁部:(正面に美瑛岳を望む)Img_4540

 火山地形で迷いやすく、歩きにくい砂礫帯の尾根を頂上目指す。

月面のような砂礫帯の尾根すじ
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山頂へのかたに取り付く:(雪渓も残っていた)
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 あとは、頂上への急な登りをひとふんばり。
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 頂上は狭い岩場だが、360度の大展望が得られる。

十勝岳頂上:(奥の山が美瑛岳)
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 「(十勝岳の頂上から)美瑛岳、美瑛富士、オプタテシケを眺めた。薄曇りとなった空の下で、山々はいずれも立派だった。それぞれの姿を誇るのでもなく、大きな心を宿していた。人間などの想像も出来ない大きな心を宿し、その心を乱すこともないようだった。」
           串田 孫一 著 「北海道の旅」 1997年 平凡社 刊 より抜粋

 さぁ~ 頂上での眺めを楽しんだら、いざ美瑛岳へ・・・・・。

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2009.08.10

大雪山

 大町桂月の言葉に
「富士山に登って山岳の高さを語れ 大雪山に登って山岳の大さを語れ」という名言があるが、実際、大雪山の偉大さは、その懐深く入らねばわからない。

 白雲岳山頂から望む旭岳Omotetaisetsu001

 大雪山といっても、それはある特定の峰を指すのではなく、北海道のほぼ中央部に広がる2000メートル級の山々の総称である。
 黒岳・旭岳・トムラウシ山、広くは十勝連峰の十勝岳・富良野岳、さらに石狩岳など、岳人憧れの山々が連なる。

 旭岳から望む山々
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 その最高峰は旭岳の2290メートルで、北アルプスの3000メートル級の山に比べると標高は劣るものの、高緯度にあり、森林限界は低く、高山帯の気象状況の厳しさは北アルプス以上といわれている。稜線を歩けば、その日本離れした景観が圧倒的に迫ってくる。

 旭岳
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 この大雪山の広がりを最も実感できるのは、白雲岳から南の高根ヶ原方面をのぞんだときであろう。高根ヶ原からトムラウシ山にいたる高原は全長15キロにも達し、あまりの雄大さに呆然となる。

 白雲岳から高根ヶ原をへてトムラウシ山を望む
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 そして、なんと言っても、その原始の森には、人間を超える山の神キムンカムイ(ヒグマ)が存在することが特別の意味を持つ。ヒグマの存在を意識することが、山々の魅力をさらに増すことにつながっているのである。

 大雪山の盟主 トムラウシ山
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 大雪山は神々の遊ぶ庭
 アイヌはカムイミンタラと呼ぶ。

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2009.07.28

知床連山最高峰 羅臼岳

 知床が世界遺産に登録される以前、知床半島は自分にとって冒険心を満たしてくれる唯一無二の秘境であった・・・・・。
 海岸線沿いに徒歩で知床岬を目指す知床半島一周や、知床連山を縦走するなどの「夢」は未だに達成されていないものの、2005年8月28日、知床連山最高峰の羅臼岳(標高1661メートル)の頂を踏む機会を得た。

 羅臼湖(三ノ沼)から望む羅臼岳

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 羅臼の語源はアイヌ語の「ラウシ」で、「動物の臓腑や骨がいつもたくさんある所」という意味があり、アイヌ人は羅臼町周辺をラウシと呼んでいた。

 アイヌはもともと羅臼岳を「チャチャヌプリ」(爺さん山)と呼び、親しみをこめ崇拝していた。
 今はその山容から知床富士とも呼ばれてもいる。

 岩尾別からの登山のスタート地点となる木下小屋。

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 うっそうとした原生林の中を歩くにしたがって植生が変化し、野生動物の気配が濃厚になる。
 トレイルにはヒグマの足跡が・・・・・。

 弥三吉水という水場を過ぎると、まもなく極楽平という平坦地に出る。極楽平を過ぎ、銀冷水という水場を過ぎると、急な大沢の登りにかかる。七月中旬まで雪渓がのこる高山植物の宝庫で、黄色や赤・白の可憐な花たちが出迎えてくれる。

 大沢の急な登り

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 鮮やかな紅色の花が目立つエゾツツジ

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 チシマクモマグサ

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 イワブクロ

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 イワギキョウ

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 大沢を登りきると、広大な羅臼平に到着。標高1350メートルの平坦地で、右に羅臼岳山頂、左に三峰の頂を見ることができる。羅臼岳頂上まではあと少し。

羅臼平から右に折れ、頂上へは、岩石が積み重なった急斜面をよじ登ることになる。頂上は細長く狭いので細心の注意が必要。

 頂上直下の岩場:左上が頂上

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 頂上から望む知床連山の山々。
 手前から三峯・ついでサシルイ岳・最奥に硫黄山。

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 羅臼湖や知西別岳、遠音別岳、オホーツクの海。

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 北方領土の国後島が間近に眺められる。

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2008.08.31

トムラウシ山の高山植物

 苛酷な環境のなか、自己主張も控えめに、「清楚可憐」という言葉がぴったりな高山植物たち・・・・・
 
 トムラウシ山で出会った花々を紹介します。

 コマクサ
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 高山植物の女王と言われ、他の植物と混じることなく砂礫地に孤立して咲いています。
 最近、このように沢山の花をつける大株にはなかなかお目にかかれません。
 種子から花をさかせるまで、だいたい5年かかるといわれています。

 エゾイワツメクサ
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 大雪山の固有種です。世界中でここにしか自生しない貴重な植物。
 礫地を好むナデシコ科の多年草です。

 イワウメ
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 高山帯の礫地に生える植物。何とも清楚な花・・・・・

 トカチフウロ
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 フウロソウ科の多年草。フウロにもいろいろ種類があるけれど、これは「トカチ」と名付けられています。茎の先に花がまとまってついているのが特徴かなぁ。

 ミヤマリンドウ
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 高山帯の草地に生える高さが5㎝程度の多年草。
 大好きな高山植物の一つ。「清楚」にして「可憐」な花。

 メアカンキンバイ
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 タカネトウウチソウ
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 タイセツトリカブト
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 綺麗な花には毒がある・・・・・猛毒です。

 ここで紹介した他にも、たくさんの花々が咲いていました。
 夏の花、そして秋の花も・・・・・。

 こんな綺麗な花々をゆっくりと楽しめる山登りが理想ですね。

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