羊蹄山(シリベシヤマ・後方羊蹄山・マッカリヌプリ)
日本百名山で、その美しい裾野を引く姿から「蝦夷富士」の名で親しまれている羊蹄山(ヨウテイザン・標高1898メートル)を訪れた。
日本百名山には「後方羊蹄山(シリベシヤマ)」として選定されているが、アイヌ語では「マッカリヌプリ」と呼ばれ、一部には「真狩岳」との呼び方もあったようで、昭和44年から単に「羊蹄山(ヨウテイザン)」にその名が統一されている。
その深田久弥著「日本百名山」では、後方羊蹄山について、次のような記述がある。
「(前略)後方羊蹄山はドッシリと重く、一種の圧迫を感じる。古来蝦夷富士と呼ばれただけあって、その整正な山容はどこから眺めても形を崩さない。」
さて、早朝5時30分、羊蹄山の西側、半月湖畔自然公園からさらに奥に進んだ半月湖野営場に車を停め、倶知安コース登山口から山頂を目指す。
倶知安コース登山口
登山口からしばらくは傾斜のほとんどないまっすぐな林道を歩く。
林道が終わると1合目(合目の道標がしっかり整備されている)。
右手の斜面に取り付き、ジグザクの急登が始まる。
2合目への途中、「風穴」があり、ヒカリゴケを見ることができる。
2合目から尾根に取り付くと、そこから先はひたすら単調な急登が続く。
時折、昨日登ったニセコアンヌプリや倶知安市街を見ることができる。
眼下に広がる雲海
3合目から5合目にかけてはエゾマツの原生林が広がっている。
6合目からは傾斜がさらに急になり、えぐれた登山道に色づいたダケカンバやハイマツが覆いかぶさってくる。
木々の色づきの変化がなかったら、どれほど単調な登りなのだろうか。とにかくしんどい。
ハイマツ帯を抜けると9合目となり、避難小屋への道を分け、左を進む。
ガスに覆われ見通しの利かない登山道を進むと、あちこちにコケモモが真っ赤な実を付けている。
火口縁に出ると、幸いなことにさっきまでのガスも風に流されたようで、視界が一気に広がり、火口と頂上部を一望できるようになる。
これまでの単調な登りから開放され、気分までも広々とする。
ここから、およそ1時間かけての頂上お鉢まわりをする。
羊蹄山には、一番大きな父釜と、母釜、子釜の3つの火口があるが、いずれの火口の草紅葉も陽の光を受け金色に輝いていた。
火口縁を頂上目指して進む。
一番大きな火口の「父釜」
来た道を振り返ると、火口の縁に沿って登山道が続いているのがわかる。
羊蹄山の山頂手前のピークの標高1893メートル地点に一等三角点が置かれている。
山頂でのランチにフジパンのスナックサンドを食べた。「黒糖スナックきなこ」と「道産ハスカップ&ホイップ」の2種類。これって北海道限定なのか?
ヤマザキのランチパックが有名だが、実はフジパンが携帯サンドイッチを発売したのが1975年の9月15日で、こちらが携帯サンドイッチの元祖らしい。
山頂で休憩した後、さらに火口縁を先へ進むが、かなり険しい岩ばかりの道となる。
岩場の所々に、イワギキョウが先残っていた。
火口縁を巡り、真狩コース・避難小屋への分岐から、避難小屋経由で倶知安コースを下山する。
火口縁から避難小屋までは、赤や黄に色づいた草紅葉の中を進む。
避難小屋
避難小屋から草紅葉の中をさらに進み、倶知安コースの9合目へ合流する。
9合目からは往路をひたすら戻ることになる。途中、3合目付近からは、雨に降られながらの下山となった。
参考までに、登山口にある案内板を載せておく。
倶知安登山口(5時30分発) →(4時間)→火口縁→(30分)→頂上→(1時間10分)→避難小屋→(3時間)→倶知安登山口(14時20分着)
全行程、およそ9時間の山歩き、下山直後から翌日まで、久しぶりの筋肉痛となった。
登山で筋肉痛となり、歩行がままならぬ状態を、「ボロット」と呼んでいる。